~肝臓とアルコール~

1.肝臓の働き
①私たちの体に必要なたんぱくの合成・栄養の貯蔵
②有害物質の解毒・分解
③食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌

2.肝臓とアルコールの関係
肝臓の働きの一つにアルコールや薬、老廃物などからだにとって有害な物質を分解し、無毒化する「解毒」という重要な作業(②)があります。アルコールを飲みすぎると、この働きが増え、肝臓が疲労してしまい、様々な肝障害※1を引き起こします。
   ※1・・・脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変

3.なぜ胃もたれや二日酔いする?
肝臓がアルコールを分解している間は他の働き(①や③)はストップされるので、お酒と一緒に食べたものの消化は後回しとなってしまいます。寝ている間も肝臓は働いているため、飲み過ぎた翌朝に消化不良で胃もたれや疲労感が残ってしまいます。さらに、アルコールを無毒化するための時間が長くなると、アルコールが分解される過程でできる毒性の強いアセトアルデヒドが体に残った状態となり、頭痛や胃痛、吐き気をもよおすこともあります。この不快な症状が「二日酔い」です。

4.アルコールが分解される時間
体に入ってきたアルコールの2~10%は呼気や尿、汗としてアルコールのまま排泄され、残りの90%以上が肝臓で処理されます。体質や性別、体調、一緒に摂る食事によっても処理時間には差がありますが、体重1kgあたり1時間に処理できるアルコール量は多くても0.1gです。例えば、体重60kgの人がビール中瓶1本のアルコールを処理するのにかかる時間は3~4時間程度となります。

5.肝臓の病気
アルコールの飲みすぎによりいろいろな臓器に病気が起こりますが、なかでも肝臓病は最も高頻度で、かつ重篤にもなる病気です。アルコール性肝臓病は飲酒量が多いほど、また飲酒期間が長いほど起こりやすくなります。アルコール性の肝臓病の特徴はB型肝炎・C型肝炎と異なり、自らの意思でその発生を予防できるという点です。しかし残念ながら現実にはアルコール性肝臓病の割合は増加しています。

6.肝臓は沈黙の臓器
肝臓は、他の臓器のように感覚神経が通っていません。そのため痛みが感じにくく、肝臓にトラブルがおきても、痛みや違和感といった表立った症状がほとんどありません。したがって症状が出てからでは遅く、早期発見が大切です。そのためお酒を常習的に飲んでいる方は、症状がなくても定期的に血液検査を受けるようにしましょう。